2021年の消費財ブランドの価値創出は、データの価値を最適化することから始まる
消費財(CPG)業界は毎年大きく変化しますが、2020年は、CPGメーカーにとって記録的な一年となりました。前年の時点で、すでに業界関係者は大きな変化の到来を予期していましたが、後の世界的パンデミックの発生によって、市場はより早いペースでの変化を余儀なくされました。このトレンドとビジネスチャンスの進化を予測して準備を進めてきたブランドにとっては、この移行はやっかいではあるものの対処可能なものでした。しかし、それ以外の企業にとっては、困難で予期せぬ課題となりました。
過去を変えることはできませんが、そこから学び目前のトレンドとビジネスチャンスにつなげることはできます。私たちが昨年目にしたことは2021年にも見られますが、その違いは、消費者の行動がこれまで以上に素早く進化しているという点です。これまでは2~3年かかって変化していたものが、今では2~3か月で様変わりするとも推定されています。
「今日の買い物客は、すべてのタッチポイントでのあらゆるやり取りにおいて、便利でパーソナライズされたつながりを期待しています。小売業者やブランド各社は、買い物客が喜び、ロイヤルティが高まるような有意義な体験をシームレスに提供できるよう、努力する必要があります。」―Inmar Intelligence社 SVPアナリティクス Jim Hertel氏
CPGメーカーと販売パートナーは、このようなトレンドに対処するために大きな進化を遂げなければなりませんでした。この準備が最も進んでいた企業はうまく生き残れただけでなく、お客様の期待や要求に応える能力を活用して、非常に困難な状況でも成功しています。
ブランドが進化を続け、将来の成功をつかむための準備をするためには、目前の5つのトレンド、そして、それらがさまざまな商品カテゴリーに及ぼす影響に細心の注意を払う必要があります。
2021年にCPGブランドが対峙する5つの最新トレンド
新たなアプリ、プラットフォーム、サービスの急激な増加によって、この数年で消費者の購買行動が再形成されています。パンデミックがこのペースを加速し、次にあげる重要なトレンドがさらに拍車をかけています。
1. デジタルメディアによる消費と販売の増加。
これは今後12か月間は継続する可能性が高いでしょう。消費者が新しいアプリ、サイト、ソーシャルコマースを使用して、CPG製品をオンラインで調べたり、購入したりするためです。
2. 利便性の高まりがオンライン購入を加速。
消費者の約90%が、商品の在庫状況、商品の見つけやすさ、会計プロセス、タイムリーで幅広い配送オプションなどを検討し、買い物をする場所を便利さで決めていると述べています。
3. 健康とサステナビリティに関する消費者の関心の高まり。
サステナビリティに関する表示の付いた商品は、従来の表示の商品と比べて6倍近くの速さで売り上げが伸びています。
4. プライベートラベルのリテールブランドの好調。
消費者の約70%が、プライベートブランドの商品の品質は、よりなじみのある競合の消費者ブランドと同等だと考えています。
5. 消費者がD2Cブランドやビジネスモデルを受け入れつつある。
消費者へ直接販売するD2Cブランドは、魅力的な体験に裏打ちされた独自性のある本物の製品に対する需要を満たし、注目を集めています。サブスクリプションのビジネスモデルも利便性を高めています。
これらのトレンドをまとめる共通のテーマには、事業やデータの透明性に対する要求の高まりがあります。消費者は自分が購入する商品に関するより詳しい情報(原材料、原産国、製造方法、製造場所など)やその後ろにあるブランドや企業に関する情報を求めています。このニーズに対処するには、消費者とのやり取り時の透明性を高めると同時に、消費者がアクセスしたいと思う情報の種類を増やすことが必要です。これを実現するためには、一元化したマスターデータ管理(MDM)基盤が不可欠であり、これによってデータプライバシーやガバナンスのための厳重なシステムを維持しつつ、正確で信頼できるデータを販売パートナーや消費者に提供します。
これらのトレンドの加速をうまく利用できる企業は、データの役割にしっかりと焦点を当てて、戦略と業務プロセスを注意深く評価することができるでしょう。マッキンゼーによる最新の調査によると、大多数の企業がビジネスチャンスが差し迫っていることを理解しているものの、この課題に正面から対処する能力に自信のある企業の数はそれよりもずっと少ないことが判明しています。
パンデミックによってビジネスチャンスが生まれたものの、それを追求する準備のできている企業はごくわずか
2021年にCPGが成功するための5つの重要な機会
上記の各トレンドはそれぞれがCPGのブランドに機会を創出します。それらを有効に活用するためには、CPGのリーダーがデータの透明性を確実に高め、ビジネスのバリューチェーン全体でそれらのデータの価値を管理し、提供する革新的な方法を導入する必要があります。
1. デジタルトランスフォーメーションの加速。
CPGメーカーの大部分が、この数年にわたってデジタルトランスフォーメーションを推進しています。また、デジタルチャネルに依存する消費者が増加していることから、このプロセスを加速する必要性が浮き彫りになってきました。正確で最新の情報にアクセスでき、最新の革新的なツールやテクノロジーを支える準備ができていることが不可欠です。
組織全体、パートナーや顧客とのデータの透明性を実現することは、顧客が求め、期待するつながりを感じる体験の提供に不可欠な要素です。
2. サプライチェーンデータの力を活用。
これには、環境情報、サステナビリティ情報、原産地情報などを抽出、検証、共有するための商品レベルのデータ属性が含まれます。これによってトレーサビリティが確立され、企業の社会的責任に関するデータをよりよく測定、共有できるようになります。これが企業、商品、ブランドに対する信頼の強化につながります。
3. 業務効率の向上。
CPGブランドは現在、絶え間なく進化し、拡大する数多くのチャネルに依存しています。これらを適切かつ一貫性をもって使用することが、データソースの量、種類、複雑さの増加につながります。データ処理やワークフローの自動化、簡易化によって、チームの業務の効率を確保できるようにすべてを管理することで、コラボレーションや意思決定の向上などの利点がもたらされます。
4. 事業のアジリティの向上。
消費者の行動は変わり続けるため、ブランド各社は、積極的に反応し、素早く切り替えができるようになる必要があります。データの管理や共有、透明性を確保できないことは、事業のアジリティを損ねます。また、商品のオンボーディング、種類の拡大、新しいデジタルチャネルからの価値の最適化に多くのコストを費やすことになり、それらの難度も高まります。信頼のおける単一のデータソースを持つことで、企業は小売業者やパートナーと効果的に情報を共有でき、彼らの積極的な予測やスケジュールに合わせられるようになります。
5. 優れた顧客体験の提供。
マスターデータを一元化するアプローチなら、顧客の360°ビューが掴めるため、ブランド各社は、正確で関連性のある情報やコンテンツ、パーソナライズされた提案を共有できるようになります。この種類のデータの透明性を活用することで顧客体験(CX)を向上し、エンゲージメント、ロイヤルティ、成長がさらに高まります。
矛盾のない豊富なコンテンツを販売パートナーや流通パートナーに提供することは、商品/ブランド体験へのエンゲージメントを生み出すための大切な一面です。データの接続、エンリッチメント、管理、配布によってデータから価値を引き出し、必要な時に誰でも、どこからでもデータを得られるようにするためには、実績のあるソリューションが求められます。データのサイロ化を防ぎ、システムやドメイン全体でデータを統合し、これを第三者リソースやパートナーとも実行できるような、マスターデータ管理の統合ソリューションを導入することが理想的なアプローチといえます。
データ関連の課題解決に役立ち、成功に向けた次の基盤となるマスターデータ管理(MDM)の働きについては、馴染みがないかもしれません。CPGリーダーたちによく見られる共通の疑問点、ならびにStibo SystemsのクラウドネイティブなMDMソリューションによるこれらの課題への対処方法に関するインサイトをご紹介します。
MDMでCPGを成功に導くための5つのよくある質問
1. MDMはパートナーとの情報共有の効率化にどのように役立つか?
シンプルな例として、小売業者からの新商品のリクエストにひとつひとつ対応するには、時間と手間のかかることが上げられます。統合されたプロダクトデータ・シンジケーション(PDS)を備えたMDMはこのニーズに対応する理想的なツールです。多くの革新的なツールの中でも、プロセスを簡素化、迅速化するデータカタログを使用することで、メーカーはカタログ全体を小売業者と共有でき、彼らが必要な時に、必要とする商品データや豊富で正確なコンテンツを引き出せる機能が提供できます。
2. チャネル全体で商品データの正確性を高め、それを測定する方法は?
消費者が販売サイトで商品を確実に見つけられるようにするには、デジタルチャネル全体の各リスティングに適切なキーワードと商品説明を記載することが不可欠です。複数のリスティングと販売業者があると、すべての商品がどのようにリストされているかを可視化することが困難になる場合があります。これには、PDSに商品比較機能とスコアリング機能を追加して、データリスティングと、販売用ウェブサイトで現在実際に表示されている内容との相違を確認することで対処します。これによって、必要に応じてサイトを更新することができます。
3. MDMは、ますます複雑化するB2B顧客やパートナーとの関係性の管理を改善することができるか?
CPGメーカーが顧客にとっての本当の価値を理解し、リスクを特定して低減し、効果的な販売戦略を導入するためには、間接的および直接的なカスタマーエコシステムを1つにまとめ、全体像を得ることが必要です。MDMは、構造的なプロファイル、階層、関係性のすべてを包括的にまとめることで、詳細な情報に基づいた意思決定、プロセスの費用効率の向上、B2Bにおける顧客体験の改善を可能にします。
4. MDMは、常に増え続けるデータの量と種類のより効率的な管理にどのように役立つか?
まずは、業界標準に対応している、実績のある統合プラットフォームに構築された柔軟なクラウドネイティブのソリューションから開始するのがおすすめです。業務関係のユーザーと技術関係のユーザーの双方が素早く簡単に操作できる、直感的なUXも重要です。業界最高クラスの検索機能や、あらゆる種類のデータを一元化してアクセスできるマルチドメインのデジタルビジネスハブを構築する機能でソリューションを拡張し、増え続ける需要に対応することができます。
5. プロセスやデータ品質、価値を改善するために、アナリティクスを使用できるか?
組み込み型アナリティクスプラットフォーム(EAP)を備えたマルチドメインのソリューションを使用することで、ユーザーはさまざま種類のデータに接続し、それらを組み合わせることができます。ここでは、複雑で独立したマネージドBIの使用や、すでに多くの業務を担当しているアナリティクスチームに負担をかけることはありません。EAPは、事業やブランド全体でのイノベーションの促進に役立つ独自性の高い価値のあるインサイトを見つけ出し、迅速に、自信をもって、より良い意思決定を行う上で役立ちます。
これが、CPG業界の企業の目前にあるトレンドとビジネスチャンスに関する基本的な概要です。マスターデータ管理は、ブランド各社がこのチャンスに備えるための素晴らしい方法です。これは2021年に限らず、今後10年間にも当てはまります。
選択したソリューションを、自社に特有の課題やニーズ、またその背景にあるCPG業界に深く根付いた課題やニーズに対応できるように確実に最適化していくことが重要です。Stibo Systemsに関する詳細情報や、Stibo Systemsが成功につながる信頼性の高いデータ基盤の構築をサポートする様子については、stibosystems.com/ja/cpgをご覧ください。